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クリスマスメッセージ(『学報』2017年度第4号より)

クリスマスメッセージ「女たちのクリスマス」-犠牲と奉仕と悲哀を生きる-

大学宗教委員長              
      現代教養学部教授 共通教育(キリスト教学)
棚村 惠子


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新約聖書「ルカによる福音書」には最初のクリスマスを祝った三人の女たちが描かれている。洗礼者ヨハネの母エリサベト、キリストの母マリア、そしてキリストを抱いた老預言者アンナである。それぞれ人生の途上でキリストの誕生という歴史的な出来事に遭遇し、それによって人生の意味と喜びを発見した女たちである。


●洗礼者ヨハネの母エリサベト


エリサベトは祭司ザカリアの妻である。「二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった」と紹介されるほど理想的に見えるカップルにもたった一つ足りないものがあった。それは子供だった。いくら「非のうちどころがない」と言われても、エリサベトにとって人生は完璧ではなかった。彼女がそのことでどんなに引け目を感じて生きてきたかは、ヨハネを身ごもったときのエリサベトの言葉から察せられる。「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取りさってくださいました」と彼女は歓喜した。長い間心に哀しみを抱いていたエリサベトの人生は、ついに遅ればせながら、満たされるはずであった。彼女の役目は、キリストに先立ち道備えをする洗礼者ヨハネを世に送りだすことだった。エリサベトが妊娠6か月になったとき、親戚筋の若いマリアがただならぬ面持ちで彼女の許に息せき切って訪れた。こうして女同士は悩みと秘密を共有する。昔も、そして今も。


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