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Vol.4 仙石淳子さん



2012年 理学研究科博士後期課程修了
東京女子大学大学院理学研究科研究員

おさえられない好奇心

興味があることは何でもやってみなさいという両親の下、幼い頃から数学や化学が大好きで好奇心旺盛だった仙石さん。

研究者を目指すきっかけは、小学生。1997年に起きた重油流出事故、油まみれになっている海鳥を見て、助けたい、解決する仕事に関わりたいという強い気持ちが芽生え、研究者になることが近道だと、ぼんやりと考える。
数理学科在学中は、特に化学の授業に関心を持ち、没頭していった。
ある日、自宅に置いてある温泉水と油を混ぜてみたところ、反応し長時間白濁したままだった。これを本格的に解明したいと考え、博士前期課程では化学を専攻し、基礎から化学を勉強した。
仙石さんの旺盛な好奇心はまだまだ終わらない。ある本から脳と水が関連していることを知り、脳に興味を抱く。
これがきっかけで、博士後期課程では、研究テーマをがらりと変えて、非平衡系が引き起こす脳のダイナミクスについての研究を進める。
当時の様子を仙石さんは次のように語る。


『博士後期課程へ進学することに迷いや不安はあったが、自分の好奇心を優先した。』

また、修論からテーマを一変したことにも不安はあったが、不安よりも好奇心の方が強く、思い切って飛び込んだという。

『今思えば無謀な決断だったと思うが、結果的には自分の気持ちに正直に行動してよかったと思う。』


挫折を「挫折」と思わない

博士後期課程では、修士論文のテーマから一変し、再スタートということで、基本から勉強をし直した。

しかし、テーマを変えてもこれまでの勉強が無駄になったかというと、そうではない。学部生の頃からコツコツと積み上げてきたことは多いに役に立った。


始めは思うように研究結果が出ず、論文を投稿した際にはリジェクトされたこともあった。

また、博士課程の途中にテーマを変えざるを得ない場合もあった。

でも、これらを挫折と思わず、経験の一つだと前向きに考えた。

2012年、仙石さんは博士後期課程を修了。博士論文のテーマは、非平衡系が引き起こす脳のダイナミクス。

電気化学インピーダンス法という、化学反応の現象を数理的に表現し、そこからインピーダンス(抵抗)を調べる手法を用いる。速い反応は観測周波数を上げて調べなければならない。一般的に緩和速度()が最も速い反応だと考えられてきたが、実際にはそれより速い反応は存在する。仙石さんの博士論文では、ある限定された条件下において観測不可な反応が存在することを、微分方程式を解析し数学的に証明した。

)電極電位を変化させ、元に戻る速さを緩和速度という。


視野を広げる努力

研究においてうまく結果が出ない等、数ヶ月間悩むこともあったが、そんなときは一回忘れて思い切って休む、違うジャンルの本を読む等、リフレッシュするようにした。

その後、悩んだ先に新しい結果を見いだすとうれしくて、また研究を続ける、その繰り返しだったという。


また、気分転換の方法は、香りを楽しむこと。ボディクリーム、ボディーシャンプー、日焼け止め等、特にローズの香りが大好き。研究に忙しくても、肌は綺麗でいたいと常に心がけている。

さらに、機会があれば、美術館へ行き、芸術鑑賞をしている。


『普段の生活は、家と学校の往復。研究だけの生活では視野が狭くなりがち。広い視点で色々な角度から見て、新しいことを考えたい。』

と、他分野の知識や考え方も身につけ、思考を柔軟にしたいと心がけている。

2013年度より、特任研究員となる仙石さん。今後の研究目標は、以下の通り。

『非平衡系のダイナミクスという研究テーマは継続。今後は脳に関連する、心理的な分野、運動分野、医療分野も視野に入れ、色々な方面からアイディアを生み出したい。』


後輩へのメッセージ

仙石さんは自身の経験より、学部1、2年で学ぶ線形代数等の必修科目の重要性、そして基礎の積み重ねが大切ということを痛感している。後輩へのアドバイスは以下の通り。


『大学での数学は、なぜそうなるか、過程をしっかり理解することが大事。わからないと思っても苦手意識を持たず、とにかく諦めないで頑張って欲しい。諦めてしまうと、後々苦労するので。』


インタビューを終えて

大人になると、純粋な好奇心や興味だけでは、なかなか行動出来ないのが現実ですが、
ご自身の強い希望を貫いたことが、良い結果を生んだのだなと思いました。
どんな時も前向きに考え、チャレンジ精神を忘れないことは、研究者を続ける上でとても大切なことだなと実感しました。
長時間のインタビューありがとうございました。