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第15回 丸山眞男文庫記念講演会 (2013年12月6日)

加藤 節 (成蹊大学名誉教授)「丸山眞男の思想世界―― デモクラシー論との関連において」

丸山眞男という人は、自分が何をしているかについて極めて自覚的な思想家でした。丸山が、自分の仕事の意図や目的が何であったかについて言及することが多い事実がそれを示しています。そうした自身による言及を手がかりにして整理すると、丸山の仕事は以下の三つの領域に大別することができると言ってよいかと思います。すなわち、日本の「良き」思想的伝統を過去の歴史のなかから取り出してくる作業、日本人の精神構造や行動様式の欠陥や病理を分析する作業、外来思想との文化接触の型を規定する日本人の思惟構造の原型を探る作業がそれであります。しかも、私が見る限り、丸山の仕事のこれら三つの領域はバラバラのものではなく、全体として一つの円環構造をなしておりました。私の報告では、丸山の仕事の三つの領域が織りなすその円環構造をデモクラシー論に関連させて解明することによって、丸山の思想世界に関する一つの全体的な見取り図を描くことを試みてみたいと思います。


【講師プロフィール】

1944年長野県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。成蹊大学法学部教授を経て、現在は成蹊大学名誉教授。専門は政治哲学・政治学史。ホッブス、スピノザ、ロックを中心とし、政治と宗教との関係を問題関心として十七世紀政治思想史の研究を続けるとともに、特に東西冷戦終焉後の世界を政治哲学的に考察する仕事を同時代認識の試みとして続けてきた。主な著書に、『近代政治哲学と宗教』『ジョン・ロックの思想世界』(東京大学出版会)、『政治と人間』『南原繁』『政治と知識人』(岩波書店)、『政治学を問いなおす』(筑摩書房)、『同時代史考』(未来社)、翻訳に、ジョン・ロック『全訳 統治二論』(岩波文庫)等がある。