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概要


目的・意義

現代社会の抱える複雑な問題の解決に向けて、新しい世界認識が求められています。しかしそれは一朝一夕に生み出せるものではありません。学術の様々な分野を総合した教養なしには、現代の複雑で巨大な問題群を解決する新しい世界認識を生みだすことはできません。


そうした視点に立つとき、20世紀日本において知の様々な分野で活躍し、教養について豊かな認識を展開した丸山眞男の業績が、きわめて重要な意義を持つものとして浮かび上がってきます。丸山は日本政治思想史を研究の中心としながら、その範囲を超えて多彩な思考をくりひろげてきました。丸山は20世紀において最も広い教養を持つ思想家の一人だったばかりでなく、みずからの思索や学問において、教養の意義を重視する姿勢を貫いた思想家だったと言えます。


東京女子大学丸山眞男文庫は、丸山の蔵書とノート・草稿類のほぼ全てを一括して所蔵しています。そして、これまでにも未公刊草稿資料類の公開・翻刻、『丸山眞男記念比較思想研究センター報告』の刊行、講演会・読書会の開催等を通じて、丸山の業績の再評価を行なってきました。


丸山眞男記念比較思想研究センターは丸山文庫を運営してきた実績をふまえて、本プロジェクトにおいて、丸山をはじめとする20世紀の知識人たちの教養形成過程及び教養観を解明します。また新渡戸稲造・南原繁・丸山らが知識人の国際的コミュニティ形成に果たした役割を明らかにし、21世紀における新たな知的コミュニティ形成の方向性を探求します。同時に、丸山文庫所蔵資料をデジタルアーカイブ化し、広く日本及び世界に向かって公開します。


以上により、本プロジェクトは21世紀の教養と知のあり方を究明する上で重要な貢献をすることを目標とします。


研究体制

本プロジェクトは、以下の二つのテーマに沿って研究を進めていきます。


1. 20世紀知識人の教養と学問―丸山眞男文庫を素材として―

丸山センターでは、これまで丸山文庫所蔵資料を利用しつつ、丸山研究・日本思想史研究等を進めてきました。その蓄積を踏まえ、丸山文庫所蔵資料の既刊著書・論文や未公刊草稿資料類を利用し、20世紀の知識人の教養形成過程・教養観・学問観等について多角的な研究を行います。


2. 丸山眞男文庫所蔵資料の調査研究とデジタルアーカイブ構築

丸山文庫には12,200冊の開架図書以外に、6,000冊以上の書きこみや折りこみのある図書・雑誌、その他、多くの楽譜類、草稿ノート類、書簡などが所蔵されています。過去13年間の調査によって、その全体像はかなり明らかにされてきました。しかし多くの資料に関する研究や内外学界への紹介は、今後の課題として残されています。本テーマでは、これらの一次資料類の調査や研究、重要なものの翻刻や出版、デジタルアーカイブとしての構築を行なうことで、国内外研究者による資料への接近を容易にし、丸山の思想と学問に対するいっそう深い理解を得ること目指します。


期待される成果

本プロジェクトによって期待される成果は以下の通りです。


  • ・ 未公刊草稿資料類を含む丸山眞男文庫のデジタルアーカイブ化を完成させることによって、「20世紀日本における知識人と教養」をめぐる国内外の研究を活性化します。
  • ・ 丸山眞男の未公刊の草稿資料類を整理・公開することで、丸山研究・日本思想史研究の飛躍的進展が期待されます。
  • ・ 丸山研究・日本思想史研究の国際的拠点を創出し、あわせて本学の社会科学分野の研究・教育基盤を強化します。